教科のお知らせ

【2022年度】グローバル探究Ⅰ-活動記録(67期生)

2022年度実施グローバル探究Ⅰの実践内容のページです。

授業概要授業内容(第1回~29回)を紹介致します。

授業概要(グローバル探究Ⅰ)

学校設定科目の「グローバル探究Ⅰ」の授業概要をお伝えいたします。

  • 対象:1年生全員164名(本校67期生)
  • 日時:金曜日(50分間)
  • 指導者:教員 8名

年間計画表[シラバス]

シラバスの閲覧が可能です(クリック)

指導目標

  1. SDGsの学習をベースにして,多教科連携の横断的な学習や外部講師から,高校生としての探究的な「学び」をめざす。
  2. ユネスコ国際教育の理念を意識し,人間の尊厳・平等・相互の尊重をベースにESDを中心テーマとした学習を行う。
  3. クリティカルな思考を通して身近なところから世界で起きている様々な諸問題に向かい,地域や世界の文化の違いや人としての普遍の精神を理解することによって,平和の文化を築こうとする資質を養う。
  4. 身近な実社会で起こっている地域の諸問題を学習し,その総合的な理解と解決に向かう資質を養う。

評価の観点

  1. 自分や他者を大切にし,身近な問題から世界の諸問題の理解に向かっていける。
  2. 自分の知識や信念を批判的に振り返り,様々なものの見方で社会の問題を吟味することができる。
  3. 周りの人とも連携し,諸問題の解決に向けた態度で行動できる。

 

授業内容

第1回:4月15日(金)

第1回目はオリエンテーションを兼ねた授業を実施しました。

本校はESD(Education for Sustainable Development)を大切にしており、2003年にはユネスコスクール(ASPnet:Associated Schools Project network)へ加盟しました。

本時ではユネスコ憲章の抜粋から、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かないといけない」という言葉を紹介しました。生徒は平和を希求する重要性を改めて認識したようです。

「グローバル探究」では地球全体が幸せになるように、「SDGs(持続可能な開発目標)」を知り、自ら興味のある課題を設定し、探究する素養を培うことをねらいとしています。課題を知り、自ら興味のあることに対して問を立て、答えのない問題に立ち向かっていく力を育むために、自分の興味があることからどう社会貢献につなげることができるのか、生徒たちは自分の内面を掘り下げることに努めていました。

 

第2回:4月22日(金)

この回からしばらく、「グローバル探究Ⅰ」の担当教員によるリレー講義が続きます。

本時は「ジェンダー平等を実現しよう」について探究を行いました。自分の「違和感を大切に」というキーフレーズではじまった講義が最も伝えたいメッセージは、様々な人の言動に注視することこそが、自身の価値観に気づくチャンスであるということ。

授業の中盤では具体例として、さまざまな学校でおこなわれているジェンダーについて考える取り組みが紹介されました。

価値観は人の分だけあり、自分の価値観を育てることと同じくらいに、ほかの人の価値観も大切。ほかの人の価値観をねじ曲げようとするのではなく、「わかろうとすること」の方がこれから大切になってくるでしょう。

後半では実際に自分たちで違和感についてお互いに発表しました。生徒は授業を通じて、ライフステージごとに自分の価値観、人の価値観について考え、ときには変わっていくことも成長のために必要だと考えているようでした。

 

第3回は「エネルギーについて知っていること」・思い浮かぶもの・イメージなどを書き出すことからはじまりました。

Google Jamboardを使用し、お互いの知っているエネルギーについて分類しました。活動を通じて、わたしたちの生活や人類の発展とエネルギーは切っても切り離せないものだということに、生徒は気づいたようです。

次に「持続可能」という言葉の意味や定義について、電気をキーワードとして話し合いました。はじめに担当者からのヒントを聞きながら発想を広げ、その後自分たち自身から発信をしていきました。

 

意見を1つ発信することで、その発信をうけとった人からまた違うアイデアが生まれる。そして新たな疑問を持ち、それが今後の人生をかけた課題となる。

探究はすぐ目の前の身近な問題を掘り下げることからはじまるということに生徒は改めて気づいていたようでした。

 

 

第4回 :5月20日(金)

第4回は「教育」についての講義でした。

冒頭では、今まで自分自身が受けてきた教育や、学校の中での困っていることについて考えました。自分たちの身の回りにある課題であるため、意見が活発に出ていました。

日本は多くの人が教育をうけられている点で評価を受けていますが、日本国内においても問題は山積しており、わたしたちはその問題を知る必要があります。

後半のワークではNGO団体の質問に対して、各政党の回答を読み、自分ならどの意見に賛同できるか、その理由について深く考えていきました。

グローバル探究Ⅰ第4回振り返りシート

問題をあげることがゴールではなく、問題を解決するための方法について考えることが大切な第一歩だということに気づく生徒もいたようです。知らないことだから関係ないのではなく、まずは知って、そのことについて自分で掘り下げていく作業が大切だということを学びました。

第5回 :5月26日(火)

第5回は「貧困」についての講義でした。授業の冒頭では貧困の定義について考えました。「衣食住ができない」や「生きることに支障がでるくらい」などの意見がでました。

国際貧困ラインでは1日を1.9ドル未満で過ごす人(絶対的貧困)のことを貧困と定義します。また世界の貧困といわれている人々のうち0~17歳が約半分を占めており、貧困が集中している場所があるなど、貧困には世代や地域で偏りがあることを学びました。

貧困をなくすために、事実を知ることは、個人の行動を変えるきっかけになるとわかったようです。

講義の後半では、貧困問題の一つの解決策として「フェアトレード」が紹介されました。フェアトレードは生産者・消費者・企業にとってどのようなメリットがあるのか、デメリットがあるのか、さまざまな立場の考えを想像し話し合いを行いました。最後は何を優先させることが貧困の解決につながるのか、生徒自身でアプローチを考えることができていたようです。

 

第6回:6月3日(金)

第6回はまず夏休み課題図書の説明がされました。夏季休暇中にSDGsの中で興味のある本を読み、レポートを書くことで学びを深めることがねらいです。

次にディベートに関して説明がされました。

まず先生の実演を見た後,自チーム内での役割分担と、対戦相手チームと司会などの役割分担をおこないました。

その後テーマである「日本はごみ収集を有料にすべきである。是か非か」について話し合い,効果的な情報をチームで協力して収集していきました。

二週間後の本番に向けて,「多角的にものごとを見る」という目標のもと,準備をおこなっていきます。

 

第7回:6月10日(金)

第7回はクラスごとにディベート準備を行いました。

1班4~5人編成で、否定派肯定派にわかれ、自チームの主張が審判に有効と認められるように作戦を立てました。参考資料の収集のため、本を読み込んできている主体的な生徒もいました。

立論をおこなうためには、多くの情報の中から信憑性のあるものを選び、どの主張が有効か繰り返し検討する必要があります。今回のようなディベート準備をすすめるには、社会問題に対し、一人ひとりが課題を分析する力が必要です。

来週の本番に向けて、考えをまとめる作業が続きました。

 

第8回:6月17日(金)

本時はさつきホール、通常教室の合計3つに分かれて、ディベートを実施しました。

50分の授業のなかで、前半戦・後半戦をおこいました。

どの会場でも準備してきた資料をもとに白熱した議論が交わされていました。

 

 

第9回:6月23日(木)・第11回:7月7日(木)

第9回はアカデミックライティングの授業をうけました。

はじめに,「アカデミックとは何か」ということについて学びました。

WWL事業の協働機関の大阪大学から、全学教育推進機構の堀一成氏を講師に迎え、2回にわたる「アカデミック・ライティング講習」を実施しました。大阪大学で初年度教育として実施されている「アカデミック・ライティング」の講習を、本校生向け、特に探究活動をこれから始める1年生向けにアレンジした内容で、「リーディング」に特化した講習を受けました。

アカデミック・ライティングの概要を学んだあと、それぞれが持ち寄った本を使ったワークなど、実践を交えながら、どのように読むかについて詳しく学びました。次年度の「グローバル探究Ⅱ」では「ライティング」に特化した講習を実施する予定です。

 

第10回:6月30日(金)

第10回は情報収集・活用についての講義でした。

仮説をたてるためには「情報」の収集が必須です。以前のディベートの振り返りからも,情報をより具体的に多く収集することで信憑性が高まり,意見を相手に正しく伝えることができると感じた生徒が多くいたようでした。

 

今後自分の「問い」をもち,自分の「答え」をどう見つけていくのか,検索の仕方,大阪教育大学の検索システム利用,学術論文や世界中の文献からも調べる方法を学びました。

簡単に検索し一部分を切り取ることで「自分の考え」とするのではなく,仮説を立ててからはじめて自らの考えを提示できる力が求められます。

次に,探究活動をおこなう上でAcademic Integrity(アカデミック・インテグリティ)という考えにも触れました。

自ら発信する際には,誰かの真似をしたり,実験データを捏造したりすることはあってはなりません。今後の情報収集・活用へといかしていきます。

 

第12回 :6月26日(金)

第12回はブックレポート報告会をおこないました。

夏季休業中の課題として、SDGsの17テーマから,自分が選んだテーマに関する課題図書を1冊読み,自分なりに感想などをまとめました。

本時では,「他の人と意見を交わし,読んだ本の内容理解を深めること」,「読んでいない本を紹介してもらうことで、視野を広げる」ことを目標に議論しました。

各チーム自分が調べてきた内容を伝え、有意義な質疑応答の時間をもつことができていたようです。

これまでSDGsに関わる講義などが行われてきましたが、夏休みの課題図書や今回のブックレポート報告会を経て、後期は自分自身が探究したいテーマを決め,半年間探究していきます。

 

第13回 :9月9日(金)

第13回は卒業生講演第1回目として63期生2名を迎え、Google Meetを介して講演を実施しました。冒頭の自己紹介では、高校生活で何を大事にしていたかを簡潔に紹介していました。

問題発見のアドバイスとして、「誰よりも調べる」ということを自身の経験を交えてお話しされていたため、生徒はイメージしやすかったようです。

高校生の間に自分の中で問題を発見するためには,自分自身と社会とのつながりや自分の好きや得意ととことん向き合うことが大事な要素となるというメッセージ。

最後の質問タイムでは,行動を持続させるモチベーション,問題をどう乗り越えたか,自分の考えを素直に話す姿がみられ、生徒にとってよい見本となったようでした。

先輩が活躍されている話を聴き,刺激や励みになったことを期待しています。

 

第14回:9月30日(金)

本時からは半年間をかけてグループ探究を行う予定です。

夏季休暇中に読んだ本や、前回の卒業生講演などを踏まえ、SDGs課題の中で今自分が一番興味のある分野は何かを事前にヒアリングし、それをもとにグループを教員側で作成しました。

本時は後期で行うグループ研究についてのテーマを班で話し合いました。議論の中で、個人で問題点をいくつか挙げ、グループで共有、その後、キーワードを具体的に挙げ、身近な問題点としてテーマを設定するなどのワークショップを行いました。

生徒は、社会問題をいかに自分事として考えられるかという点において頭を悩ませていたようです。

 

第15回:10月7日(金)

第15回はリサーチクエスチョンを導くことを目標としました。

前回生徒自身がたてたテーマを教員がチェックして、オンライン上で用紙が返却されました。5W1Hを基本とし、自分たちのテーマを深めながら多くの問いをたてていました。

どのエリアのことを調べるのか、どの時代のことなのか、多くを出し、絞っていくことが求められます。

リサーチクエスチョンは探究活動をおこなううえで最も重要視しなければならないことの1つであるということを、生徒は今後ますます感じることとなるはずです。

 

第16回:10月21日(金)

第16回では、前回たてたリサーチクエスチョンをもとに、仮説を立てることを目指しました。

仮説とは、リサーチクエスチョンに対する予想される仮の答えであり、多くの研究が仮説を検証する形で行われます。授業では、米農家の持続可能性をテーマに、具体例を示しながら生徒とともに仮説をたてていきました。

また、仮説は調査・実験の方向性の決定にかかわるため、先行研究や事例をふまえ、根拠に基づいて立てていく必要があるということも活動を通じて学んだようです。

 

第17回:10月28日(金)・第18回:11月4日(金)

第17回は研究計画書の作成・発表の講義でした。

これまでは、リサーチクエスチョンや仮説を立てるということをおこなってきました。その蓄積を研究計画書にまとめるために、再度同じメンバーでリサーチクエスチョンを深め、その問いが本当に自分たちに興味がある問題なのか、そのために自分たちには何ができるのかを話し合っていました。

何度も話し合い、教員からのアドバイスを受けながら問いに向き合っていました。

また、第18回では、研究計画書の作成の続きを行い、探究活動への理解を深める時間としました。

 

第19回:11月11日(金)

本時は2回目の卒業生講演として、52期生の田中さんをお迎えし、グループアクティビティを交えてお話ししていただきました。

授業の前半では、鉄球などのおもりを支える橋を紙で作るという活動を行いました。

紙1枚を折るだけで金属製のおもりを何個も載せられるようになることに驚いた生徒も多く、今までの紙のイメージが大きく変わったようでした。同じ紙でもストローになったりカバンになったり、機械の部品になったりと使い道が多岐に渡ることにも驚いた生徒もいたようです。

後半では、紙の繊維が飛行機の部品になることを学びました。

普段生徒自身が見ている視点では気づかないことが、様々な角度で見ることで新たな発見を生むということに活動を通じて知ることで、当たり前にとらわれず、多角的に考えることが大切なのだと気づいてほしいと思います。

探究活動に勤しむ生徒にとって素晴らしい講演でした。

 

第20回:11月18日(金)3・4組(プレ公開授業)・11月19日(土)1・2組(公開授業)

第20回は今までの探究活動を個人で振り返る時間としました。

第1回の時にたてた自身の目標や探究活動への目的を見直し、達成度を確認しました。

また、65期生で「グローバル探究Ⅲ」を履修している3人の先輩に協力を依頼し、各学年で作成した成果物から、探究活動がどのように変わっていったのかを調査・分析することも行いました。

生徒は、学年が上がるにつれて、探究活動がより具体的かつ自分事になっていると気づいており、今後の探究活動に対して参考にすべきロールモデルとなったようです。

 

第21回:11月25日(金)

本時は、前半でより良いポスターとは何かについて、教員が示した例をもとに学びました。

後半では、次回の中間発表に向けてポスター制作を行いました。

中間発表では、自分たちの探究テーマの要旨と研究背景、研究目的と意義、研究方法を中心にGoogle Slideを使用してポスター形式でまとめます。まだまだ粗削りではあるものの、限られた時間の中でよく頑張っていたようです。

 

第22回:12月2日(金)

本時は、6つの会場に分かれて中間発表を行いました。

各チーム今までの成果を発表し、その後質疑応答を行いました。実際に他グループの発表を見ることで自分たち自身の探究活動を見直すことができたり、質疑応答を行うことで課題点が見えてきたりしたようです。

中間発表での学びを今後に生かし、本発表が素晴らしいものになるように、各チームが探究活動とその成果物を洗練していくことを期待します。

 

第23回:12月16日(金)

本時は、前回の中間発表を各チームで振り返る時間としました。相互評価や教員からのフィードバックも参考にしながら、チーム内で議論できていたようです。

また、冬期休暇中に進めておくべき調査や実験についても役割分担をしながら話し合いました。本発表に向けて、意欲が高まっている様子でした。

 

第24回:1月13日(金)・第25回:1月20日(金)・第26回:1月27日(金)

第24回から第26回までの3回では、各チーム担当教員のもと、結論を導くために調査や実験を行う期間でした。

文献調査を継続して行いながら、アンケートをGoogle Formで実施したり、有識者の方にインタビューを行ったり、学校で実験を行ったりするなど工夫が多くみられました。

研究途中で思い通りにいかないことや苦難する場面もあったようですが、チームで協力して粘り強く取り組めていました。

 

第27回:2月3日(金)

本時は、次回の本発表に向けてポスター制作を行いました。

本発表では、A1用紙に印刷したポスターを用いて、ポスターセッションを行います。ポスターではなく発表者自身が主役であるという点を生徒に伝えました。

各チーム役割分担をしながらポスターを制作しましたが、1年間デバイスを様々な場面で使っていたため、手際よく進めていました。

 

第28回:2月9日(木)

本時は、7会場(さつきホールに2会場設けた)で本発表を行いました。

通常であれば金曜日に「グローバル探究」は割り当てられているが、ポスターセッションを通じて様々な班の発表に見てもらうことと、発表の機会を多く有してもらうことをねらいとしたため、木曜日の5・6時間目に全クラス合同で行いました。

発表は6セッションあり、前班と後半で発表の班を2つに分けました。また各セッションで発表者は2名であり、その他の生徒は他の発表を見るために動いて回りました。生徒は発表に慣れた様子であり、質疑応答も数多く飛びかっていました。

 

第29回:2月24日(金)

今年度の探究成果の総括として、生徒はそれぞれ個人レポートを作成していきます。そのためにまず、本時の前半では、本発表の要旨作成を完成させました。この部分はグループ内で共有しますが、それ以降の章立て・内容については、各個人でまとめて、自分だけのレポートとして仕上げていきます。

本時の後半は、グループ探究活動の振り返りを行いました。一年間の授業を通じて何に気づき、何を学んだか、そして来年度はどのように探究活動を広げていきたいか。これまでの、そして、これからの自分の在り方に思いを馳せる時間となりました。

(本年度の活動終了。)


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