2021年度実施グローバル探究Ⅰの実践内容のページです。
授業概要と授業内容(第1回~31回)を紹介致します。
グローバル探究Ⅰの授業概要
学校設定科目の「グローバル探究Ⅰ」の授業概要をお伝えいたします。
- 対象:1年生全員160名(本校66期生)
- 日時:毎週金曜日1コマ(50分間)
- 指導者:教員 8名
- 年間計画表:シラバス【クリック】。
指導目標
- SDGsの学習をベースにして、多教科連携の横断的な学習や外部講師から、高校生としての探求的な「学び」を目指す。
- ユネスコ国際教育の理念を意識し、人間の尊厳・平等・相互の尊重をベースにESDを中心テーマとした学習を行う。
- クリティカルな思考を通して身近なところから世界で起きている様々な諸問題に向かい、地域や世界の文化の違いや人としての普遍の精神を理解することによって、平和の文化を築こうとする資質を養う。
- 身近な実社会で起こっている地域の諸問題を学習し、その総合的な理解と解決に向かう資質を養う。
評価の観点
- 自分や他者を大切にし、身近な問題から世界の諸問題の理解に向かっていける。
- 自分の知識や信念を批判的に振り返り、様々なものの見方で社会の問題を吟味することができる。
- 周りの人とも連携し、諸問題の解決に向けた態度で行動できる。
授業内容
第1回「オリエンテーション」
今年度の英語(「コミュニケーション英語ⅠB」)の授業では、『SDGs英語長文Core -Think, Share, Act-』(三省堂)を読んでいきます。そのため、随所で「グローバル探究Ⅰ」(以下、「探究Ⅰ」)とのコラボレーションがはかられます。
「探究Ⅰ」オリエンテーションも兼ねた第1回の授業ではまず、本校がユネスコスクール(ユネスコ憲章に示された理念を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校)として、長年国際教育に取り組んできたことが紹介されました。
本校では、早くからESD(Education for Sustainable Development)を大切にしてきました。
「グローバル探究Ⅰ」では、”No one will be left behind.”(誰も置き去りにしない)をキーワードに、持続可能な社会・経済・環境をめざして、世界のさまざまな課題について知り、探究活動を進めていきます。
その際、忘れてはならないのが、どのような課題に対しても、常に当事者意識を持って考えるということです。
今回の授業では、日常生活における自分たちの何気ない行動がSDGsの達成を阻害していないかどうか、話し合いました。
第2回「全体オリエンテーション・生きることの意味を考える」
今回は、「グローバル探究I」の授業の全体オリエンテーション、探究とは何かについて考えたあと、植松努さん(株式会社植松電機)の「TED×SAPPORO」での講演「思うは招く」を視聴し、生きることの意味について考えました。
植松さんは、人の可能性を奪う言葉「どうせ無理」をなくして、「だったら、こうしてみたら?」という言葉で人の可能性を広げられるようにしたいと話されました。植松さんの情熱的なスピーチに、終始頷きながら見ている人も多かったです。
誰かの役に立つために生きるということがいかに大切か、また、将来のことを自分自身で決めることや周りの人々が自分を否定する中で、強い信念を持ち続けることがいかに困難かということを痛切に感じ取っていたようです。
第3・4回「目標16平和と公正をすべての人に」「目標11 住み続けられるまちづくりを」
4月30日(金)/5月7日(金) 第3回/第4回
この回からしばらく、グローバル探究Iの担当教員によるリレー講義が続きます。講義とはいえ、「密」にならないよう気をつけながら、Chromebookを活用したグループワークを適宜行います。
SDGs16番の「平和」の授業では、「平和」の定義について話し合い、意見を出し合うことで、平和を阻害しているものがいったい何なのかについて考えを深めました。
毎回提出する「ふりかえりシート」には、身近なところから平和について考えることができたという意見や、完璧な平和を達成できないまでも、それぞれが少し妥協することで部分的な平和を実現できるのではないかという意見、何事にも当事者意識というものを持って、平和を阻害している原因について考える必要があるという意見もありました。
非常に大きく解決が困難に思えるテーマではありますが、この先、常に「当事者意識」を持って考えていくべき問題だと理解した人が多かったようです。
SDGs11番の「住み続けられるまちづくりを」の授業では、「◯◯にとって『住み続けられないまち』とはどのようなまちなのか」について話し合いました。
「◯◯」の部分に、人間だけでなく動植物を入れて考えた班や、社会的弱者とされる人々にとって住みやすいまちを考えることが、そのまちに住む大勢の住みやすさを考えることにつながるという点に気づいた班もありました。
また、治安の維持や取り締まりが、わたしたちや誰かの「自由」を制限することにつながると感じた人もいました。「コロナ時代」の社会において、留意すべき点かもしれません。
第5回「目標4 質の高い教育をみんなに」
5/14(金)
今回は「SDGs4教育キャンペーン」のワークショップを実施しました。
このワークショップは、市民の声を政府へ届け、政策に反映することを目的とする世界的なキャンペーンで、世界100か国以上で実施されているものです。日本では、教育分野の国際協力NGO20団体の連合体である「教育協力NGOネットワーク(JNNE)」が、「SDG4教育キャンペーン」(旧:「世界一大きな授業」キャンペーン)として実施しています。
国際的な教育課題についてのクイズを実施したあと、「教育を後回しにできない基金」(ECW)」「教育のためのグローバルパートナーシップ」(GPE)「学校保護宣言」について、ペアになって話し合い、最後にはA〜Fの政党への投票もおこなってみました。
第6・7回「目標5ジェンダー平等を実現しよう」「目標12 つくる責任つかう責任」
5月21日(金)/6月4日(金)第6回/第7回
自分の偏見を思い知らされるジェンダーにまつわるクイズと、最新のジェンダーギャップ指数ランキングを見て日本の実態を知るところから授業がスタートしました。
次に、配布資料の10の項目を、「あっていい違い」と「あると危険な違い」に分類してみました。グループに分かれ、Google Jamboardに意見をどんどんに出していきます。
最後に、それらの項目のうち最も問題だと考えたものについてその原因と解決策を、グループ毎に黒板に書き出していきました。ジェンダー平等について考えることは女性のためだけの運動だと思われがちだが、実際には男性の長時間労働に起因している問題があるなど、全体の問題であることに気づいた生徒も多くいました。
5月21日(金)/6月4日(金)第6回/第7回
某35歳男性(おそらく担当教員?)の一人暮らしの部屋の写真を見て、生産や消費の観点から、良いところと悪いところを考えました。
グループの意見をJamboardに列挙していきましたが、良いところとしては「生活に必要なものが最低限に抑えられている」「洗濯用洗剤などを詰め替え用で購入していて、資源の無駄遣いのないようにしている」といった意見が出た一方、悪いところとしては「iPadを複数所有しているなど、電気機器が多すぎて電力の無駄遣いをしている」「コンビニのお弁当はプラスチックのゴミが出る」「資源ゴミのなかにプラスチックトレイが多い」などの意見が出ました。
現時点では高校生である生徒たちは、「つくる責任」より「つかう責任」についてより自覚的に考えていく必要があります。身近な大人(?)の部屋を覗いたことで、自分自身の生活を見直すきっかけになったのではないでしょうか。
また、ふりかえりに際しては、自分や社会、企業が持続可能な生産・消費形態を確保するためにできることは何かを考えました。
第8・9回 「目標6安全な水とトイレを世界中に」「目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
6月11日(金)/18(金)第8回/第9回「目標6 安全な水とトイレを世界中に」
導入のクイズを通して、「水の惑星」と称される地球には人間が使える水(真水)が予想以上に少ないことを知りました。
わたしたちは日常生活において、飲料や入浴、炊事、洗濯、排泄などに毎日大量の水を使っています。食糧自給率が高くないとされる日本は、外国から食糧を輸入する際、実は「バーチャル・ウォーター」として大量の水を輸入しており、世界で深刻な水不足は、日本に住むわたしたちと決して無関係ではないことがわかりました。
食事に使われる水の量を「仮想水計算機(バーチャル・ウォーター量自動計算)」(環境省公式サイトより)を使って計算することで、食材に使われる水の量の多さを実感したようです。また、トイレがない国や地域について、何が問題になるのかを配布資料をじっくり読んで考えました。
水の問題がSDGsのどの課題につながるかについて、グループで話し合ってみました。水やトイレにまつわるさまざまな問題は、貧困やジェンダー不平等、教育格差など、多くの問題に直結していることを痛感しました。
「目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
Kahoot!を使ったクイズで、エネルギーについての知識を深めたあと、電気やガスを使えないことが、いかに人々の健康に直接大きな影響を与えるかについて、動画(国連広報センターより)をみて考えました。
メインの学習活動はグループワークで、SDGsの目標7や目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)について、個人ではなく企業の一員として何ができるかを話し合いました。
企業の業種は好きに選ぶのではなく、くじ引きです。考えやすい業種とそうでない業種があったようですが、かえって議論が活発になったようでした。
各グループで出た意見を黒板に列挙していき、全体で共有することで、予想以上に多くの業種がエネルギー問題に関わっていること、どの業種にもやれることがあること、そして実際に多くの企業がさまざまな取り組みを実践していることなどがわかりました。
第10・11回「目標4質の高い教育をみんなに」「目標1 貧困をなくそう」
6月25日(金)/7月9日(金)第10回/第11回
「目標4 質の高い教育をみんなに」
読み書きができる私たちですが、たとえ日本語で書かれていたとしても、日本最古の和歌集である『万葉集』を読むとなると(「万葉がな」を読み解くのが)至難の業です。
また、平安時代に書かれた『枕草子』は変体仮名が用いられていましたが、明治33年に変体仮名が廃止され、日本の識字率が上がったといわれます。さらに識字率を上げるため、日本語の表記に使用する文字を難解な漢字ではなく、ローマ字(ラテン文字)にすべきだという「ローマ字論」も登場し、小学校教育にローマ字が取り入れられますが、結局、日本語のローマ字化は進みませんでした。
授業では、Jamboardを使用して、文字の統一化推進に賛成か反対かについて、グループで意見を出し合いました。賛成意見としては「識字率向上に役に立つ」「日本語が外国の方も読みやすい言語となる」、反対意見としては、「意味を捉えづらい」「漢字は日本独特の文化なので文化が消えることになる」などが出ました。実際に、日本でも識字率をあげるために変体仮名が廃止されたことで、文化の一部が消滅してしまったと解釈できます。
それでは、SDGsの目標を達成するために「文化」の力をどのように活かしていけばいいのか。難しいテーマではありましたが、2つ目のグループ・ディスカッションを行い、活発に意見交換を行いました。
「目標1 貧困をなくそう」
新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、貧困問題は悪化、極めて深刻になってきています。冒頭ではNPO法人Homedoor理事長の川口加奈さんの動画を見ました。
通学途中で出会ったホームレス問題から、親に黙って炊き出しや夜回りに参加、貧困家庭に育った人がホームレスになるケース多いこと、求人情報が溢れているのに交通費、服装、昼食代金など仕事に行くにもお金がいること、家を借りるために住民票に記載の家が必要なことなど負のスパイラルから抜け出せないことに気づいた川口さんは、やり直したいと思ったら誰でもやり直せる社会を作りたいと19歳のときにHomedoorを立ち上げました。
動画を見たあと、Mentimeterを使用して動画の感想を共有しました。
次にGoogle ClassroomにPDFデータで配信された40の記事(「東洋経済オンライン」の連載より)を一人一つ分担して読み、ペアで記事内容を共有しました。
さらにMentimeterを使い、読んだ記事から印象的な言葉やペアで記事の共通点を出し合いました。貧困問題に関しては「個別性」「個々がそれぞれ違う状況にある」という視点で考える必要があること、表面的には豊かな国である日本の中でも、私たちが知らない側面を「知る」「想像する」ことが、今私たちに求められているだと認識しました。
第12回 「課題研究と研究テーマについて」
7月16日(金)第12回「課題研究と研究テーマについて」
これから始まる探究活動に向け、数回の授業を通して、研究の手順などを学んでいきます。テキストとして使用するのは、『課題研究メソッド 2nd Edition』(岡本尚也著、啓林館、2021年)です。
研究テーマを決めるにあたり、まずは興味・関心のある言葉を書きとめていくところからはじめました。書きとめたキーワードについて、グループで話し合います。さらに思考ツールで研究テーマに関する知識を広げ、整理していきます。
グループワークでは、「マンダラート」と「KJ法」を使ってみました(時間の都合上、「KJ法」は後日に持ち越しとなりました)。「マンダラート」のグループワークでは、議論が白熱したようです。
夏休みの課題は、ブックレポートです。SDGsの各目標についての課題図書を「探究Ⅰ」の担当教員8名が2冊ずつ選びました。選書の基準は、出版年が比較的新しいことや、関連するテーマの導入としてわかりやすい「新書」であることなどです。
第13回「本を読み深めよう〜夏休みの課題ブックレポートふりかえり」
8月27日(金)第13回「本を読み深めよう〜夏休みの課題ブックレポートふりかえり」
夏休み明けの初回の授業では、課題のブックレポートに使用した課題図書の読み深めを行いました。
前半は、自分と同じ本を読んだメンバーでグループになり、本の内容や要点の確認をしました。本が同じでも、読み手によって感じ方や考え方が異なるため、さまざまな意見が飛び出し、理解がいっそう深まったようでした。
後半は、異なる本を読んだメンバーでグループをつくりました。
自分が読んだ本のプレゼンテーションを行い、そのあと、質疑応答の時間が設けられました。本の内容を知らない人に説明・紹介することの難しさを体感し、また、しっかりと質疑応答するには、本の内容をよく理解した上で、自分の意見や考えを持たなければならないということに気づいたようです。
第14・15回「アカデミック・リーディング講習」
9月3日(金)・10日(金)第14・15回「アカデミック・リーディング講習」
WWL事業の協働機関のひとつである大阪大学から、全学教育推進機構の堀一成教授を講師にお迎えし、2回にわたる「アカデミック・ライティング講習」を実施しました。
大阪大学で初年度教育として実施されている「アカデミック・ライティング」の講習を、本校生向け、特に探究活動をこれから始める1年生向けにアレンジしていただき、「リーディング」に特化した講習を行っていただきました。
アカデミック・ライティングの概要を学んだあと、それぞれが持ち寄った本を使ったワークなど、実践を交えながら、どのように読むかについて詳しく学びました。
次年度の「探究Ⅱ」では「ライティング」に特化した講習を実施する予定です。
第16回「仮説の立て方、情報の集め方」
9月24日(金)第16回「仮説の立て方、情報の集め方」
前半は「仮説の立て方」についての授業です。「五月山動物園の来園者数を増やす有効な施策は何か」というリサーチクエスチョンを取り上げ、例として挙げられた調査や実験方法のどこが問題なのか、検討しました。
続いて、リサーチクエスチョンから立てた仮説を検証します。自分勝手な仮説になっていないか、調べればすぐにわかる仮説や抽象的な仮説になっていないかなど、問題点を洗い出していきます。リサーチクエスチョンから先行研究を調べ、事例を理解し、情報収集を徹底し、仮説を立て、それを検証をするという過程を繰り返す中で、新たな仮説が生まれることを、しっかり学べたようでした。
後半は「情報の集め方」についてです。インターネットで何でも調べられる時代だからこそ、信頼できる質の高い情報にアクセスできるかどうかが鍵となります。
まず、「動物園の是非」というテーマで探究する場合、どのように調べてどのような情報が得られるかを試してみました。
研究には先行研究を踏まえることが必要ですが、それらを検索するさまざまな方法やツール、サイトが紹介され、授業中にも実際にいくつか検索してみました。
一通り学んだあと、冒頭で調べたテーマをもう一度調べてみました。最初に漠然と調べた場合と、授業を受けた後に工夫して調べた場合とでは、得られた結果も全く違ったようでした。
第17回「調査実験の実施・結果のまとめ」
10月1日(金)第17回「調査実験の実施・結果のまとめ」
前半は、調査や実験の実施についての講義です。研究ノートの記録のしかたや、調査・実験で期待した結果が出なかった場合、調査や実験の方法そのものを見直してみること、結果をまとめる際のデータの取り扱いなどについて学びました。
どのようなグラフや表を用いると効果的に結果を伝えられるのかについて、「動物や動物園にまつわるデータ」を集め、それをグラフや表にしてみるというグループワークで考えてみました。
後半は、探究活動を始める前に、得られた情報をいかに精査するかについて考えました。いくつかの実例から、世の中に出回っている情報がいかに操作されているかを痛感した生徒が多かったようです。今後、信頼できる情報なのか、グラフや図を恣意的に操作していないか、身内だけのアンケートになっていないかなど、きちんと検証・精査しながら探究活動を進めてほしいと思います。
第18・19回「ディベート準備」
10月8日(金)・22日(金)第18回・19回「ディベート準備」
これから2回の授業で、ディベートの準備を行います。1時間目は、ディベートの手順の説明や、テーマの発表、担当教員による実演などを行ったのち、グループに分かれて役割分担を決めました。ディベートのグループ分けに関しては、各クラスの代議員が、さまざまな観点から行いました。
2時間目は、役割分担を確認したのち、テーマに即した具体的な調査や話し合いが始まりました。限られた時間内で、必死に話し合っているところです。
第20回「ディベート(本番)ーコンビニの24時間営業の是非ー」
10月29日(金)第20回「ディベート(本番)ーコンビニの24時間営業の是非ー」
いよいよディベートの本番です。会場は、さつきホール、通常教室の合計3つに分かれて、行われました。
- 肯定側立論(3分)
- 否定側質疑(2分)
- 否定側立論(3分)
- 肯定側質疑(2分)
- 作戦タイム(1分)
- 否定側反駁(2分)
- 肯定側反駁(2分)
- 否定側最終弁論(2分)
- 肯定側最終弁論(2分)
- ジャッジ、判定理由説明(3分)
- 移動(審判交代)(5分)
50分の授業のなかで、前半戦・後半戦を行うため、みんな必死です。どの会場でも白熱した議論が交わされました。
第21回「ディベートふりかえり」
11月5日(金)第21回「ディベートふりかえり」
前回の白熱したディベートで出た賛否それぞれの意見(最終弁論)をふりかえり、賛否両方の意見を踏まえた「新たな提案」を考案する授業です。
まずは、ディベートの班に分かれて、ディベートでの主張をふりかえり、班の主張をGoogleスプレッドシートに入力していきます。
次に、各班が入力した主張を全員で共有します。そのなかから注目した主張を挙げていき、そこから「新たな提案」をつくりあげます。新たな提案は、Googleスライドにまとめていきます。
この授業は、令和3(2021)年度大阪教育大学池田地区附属学校研究発表会(オンラインでの開催)で高校1年グローバル探究Ⅰ「論理の型を変えることで深める探究活動」として公開されました。
第22回「研究倫理について/探究テーマについて」
11月12日(金)第22回「研究倫理について/探究テーマについて」
授業の前半では、研究倫理について学びました。研究不正にはどのようなものがあるか、具体的な事例について、ペアで話し合いながら確認しました。また、探究していくにあたり、大切にすべき心がまえとはどのようなものかについても考えました。
大学生になることは、「知の消費者」から「知の生産者」に移行することであるとされますが、探究を行う高校生はすでにその転換期にさしかかっているといえるかもしれません。「知」を生産し活用する側の人間としてふさわしい研究に対する姿勢や倫理を、一人ひとりが身につけていく必要があります。授業を通じて十分理解し、実際の探究に活かしてくれることを期待します。
授業の後半は、今後探究を行っていく際のテーマについての調査を実施しました。SDGsの目標のなかから、どの目標に関わるテーマにするのか、真剣に考えていました。
第23回「リサーチクエスチョンのつくりかた」
11月19日(金)第23回「リサーチクエスチョンのつくりかた」
次回からグループによる探究活動がはじまりますが、具体的な活動に入る前に、「リサーチクエスチョン」とは何か、そして、その「リサーチクエスチョン」をどのようにしてつくるかについて学習しました。練習のために取り上げたテーマは、「多文化共生」で、SDGs解決に向かう探究にふさわしいテーマ探しをします。生徒たちにはあらかじめ、「日本に住む外国人」に関する新聞記事を持ち寄ってもらいました。
まずはグループに分かれて、それぞれが持ち寄った記事の概要を共有しました。次に、そのなかから1つ記事を選び、そこから「問い」をつくってみました。最後に、その「問い」をリサーチクエスチョンに発展させる作業を行いました。コツは掴めたでしょうか。
第24回「グループ探究(1)リサーチクエスチョンの設定」
11月26日(金)第24回「グループ探究(1)リサーチクエスチョンの設定」
今回の授業からいよいよグループによる探究活動の開始です。SDGsの各目標から関心のあるテーマを第3希望まで調査し、それをもとに無作為に3〜4名のグループがつくられました。
まずは、関心のあるテーマを列挙していきます。次に、リサーチクエスチョンの設定です。研究テーマに対して、「問い」を立てていく作業になります。
テキストの『課題研究メソッド』を参考にしながら、言葉の意味や定義、原因(なぜ)、信憑性、比較、先行研究・選考事例、影響、方法や関連性などを問う、7つ「問い」について検討していきます。
少なくとも5つの問いがつくれたでしょうか。
次に「問い」を発展させていく作業です。「問い」の答えがすぐに見つかるかどうかを一つひとつ確認し、リサーチクエスチョンを導きます。
第25回「グループ探究(2)リサーチクエスチョンの見直し・仮説を立てよう」
12月17日(金)第25回
前回作成したリサーチクエスチョンを担当教員が添削しました。教員からそれぞれ助言を受け、まずはリサーチクエスチョンを見直す作業を行いました。
定義が曖昧ではないか、どの地域が対象なのか、どのような条件を想定しているのか、など多くの課題が出てきました。
リサーチクエスチョンを見直す作業がひと段落ついたところで、それぞれが持ち寄った先行研究を共有し、さらに先行研究を検索していきます。
最終的には、仮説を立てるところまで行きたいところですが、時間が足りずに難航したグループもあったようです。
第26回「グループ探究(3)仮説を立証する調査・実験方法を検討しよう」
12月24日(金)第26回
本時の目標は、前回検討した仮説の「根拠」を明確化し、仮説を検証するための方法を検討することにつなげること、仮説を検証するための方法を検討し、実践にうつすこと、さらに、それらの結果をふまえてより具体化された仮説やリサーチ・クエスチョンへと昇華させることです。
冬休み中にオンラインで協働作業をおこなったグループは早々と作業を進めていましたが、仮説を検証するための方法がなかなか思いつかなかったり、より具体化された仮説を導き出せなかったり、苦労しているグループがほとんどでした。
第27回「グループ探究(4)調査や実験の結果を検討・考察し、結論を導こう」
1月21日(金)第27回
前回の授業までに、具体化したリサーチクエスチョンから新たに立てた仮説を検証する調査および実験を完了しているのが理想ですが、実際にはそううまくいきません。
本時の目標は、前回具体化したリサーチクエスチョンを確認・共有し、それを受けて新たに立てた仮説について検証し、さらには、調査・実験の記録をまとめ、その結果導いた結論をまとめることです。なかなかうまくいかないグループもあったようです。次回までにどの程度進められるでしょうか。
第28回「グループ探究(5)プレゼンテーション準備」
1月28日(金)第28回
いよいよ次回がプレゼンテーション本番。
今回の授業では、これまでの探究の内容を確認・共有し、実際にプレゼンテーションの準備にとりかかります。
まずは、講義形式でプレゼンテーションのやり方やアブストラクション(要旨)の作成方法、どのようにすればわかりやすいスライドになるかなどについて学びました。
まだスライド作成に着手できる段階ではないグループからは焦りが見られました。限られた時間内で、プレゼンテーションの準備をがんばってほしいです。
第29回「グループ探究(6)プレゼンテーション本番」
2月4日(金)第29回
いよいよプレゼンテーション本番、今回の授業では、これまでの探究の内容の成果を発表する日です。
探究テーマが近いグループ2つか3つで1つの教室に入り、それぞれ7分間のプレゼンと約3分の質疑応答、教員からのフィードバックを行いました。
準備期間が短い中、スライドや発表原稿の作成をして本番に臨みました。質疑応答では、時間切れになるほど質問がどんどん出された部屋もありました。
活発な議論を行うことができたようです。次年度は授業時間が倍となり、本格的な探究活動が始まります。
今回の課題研究・研究発表を経験し、次年度に向けて探究したいことがわかってきた生徒たちも多くみられまし た。
第30回「グループ探究(7)課題研究振り返り」
2月18日(金)第30回
前回の課題研究の振り返りをHR教室で行いました。
はじめに、2グループずつに分かれて、相手のグループに向けて互いに、前回と同様のプレゼンテーションを行いました。
小規模のプレゼンテーションを行うことで、前回の発表よりもさらに意見や質問が出やすい雰囲気となりました。
その後、それぞれのグループ内で、自身の探究活動について振り返りを行いました。プレゼンテーションに対して出てきた質問を分類し(単純に意味を問う浅い質問か?内容を問う深い質問か?など)、自分たちの探究の成果を、分析しました。
また、これまでの探究活動が充実していたか、チェックリストを用いて振り返りました。
最後には、探究活動の反省点とそれを踏まえた改善点をグループで話し合い、まとめました。
第31回「卒業生の講話」
2月25日(金)第31回
63期生(2021年3月卒業)で、現在慶應義塾大学1年生の宮沢桜太朗さんをゲストに迎えて講演会を行いました。
Zoomでの講演となりましたが、「サステナブルファッションとZ世代」というタイトルで、現在宮沢さんが企画しているプロジェクトやなぜそのプロジェクトを立ち上げようと考えたのか、そしてアパレル業界に興味を持つきっかけや高校時代の探究活動の話を聴きました。
年齢の近い卒業生の、チャレンジ精神旺盛で何でも前向きに挑戦する姿を見て、一人ひとりが将来の自分像をイメージするきっかけとなりました。
質疑応答タイムでは時間ギリギリまで質問が続き、生徒たちの関心の高さが伺えました。
宮沢さんは自分の興味あることを突き詰めた結果、それがプロジェクトの企画につながっていったことから、「来年も自分たちが興味のある内容から探究を始めればいいんだ」と、次年度への探究活動への足がかりとなりました。
(本年度の活動は終わり。)