教科のお知らせ

【2024年度】総合的な探究の時間(1年生)-活動記録(69期生)

2024年度実施の総合的な探究の時間の授業実践をご紹介いたします。

総合的な探究の時間の授業の概要と、各回の授業の様子、生徒の活動の様子をお伝えします。 

(最新更新日:2024.11.12)

 

 

授業の概要

「総合的な探究の時間」の授業概要をお伝えいたします。

  • 対象:1年生全員164名(本校69期生)
  • 日時:毎週金曜日1コマ(50分間)
  • 指導者:教員 6名

※年間計画表は シラバス「総合的な探究の時間Ⅰ」(69期) です。

 

指導目標

身近なところと世界で起きている諸問題・諸課題の関係性に気づき、それらの解決について取り組む中で、自己のあり方や生き方について自らの考えを見つめることができる。

また、現代の社会課題を発見し、より良い社会の実現に向けて探究活動に取り組むことを通して、平和で調和あるグローバル社会の創造を探究する資質・能力を育成する。  

  1. 教科連携による横断的な学習や外部講師等からの学びを通じて、各教科で獲得した知識・技能が社会で活かされていることを理解し、探究活動を通して実社会で活かせる 知識・技能・考え方を身につける。
  2. グループ探究を通して、自分の考え方や価値観に気づき、異なる視点にふれる中で、 様々な考え方を受け入れる寛容な態度を育成する。
  3. ユネスコ国際教育の理念に基づき、人間の尊厳・平等を尊重し、持続可能な社会を実現するための態度を育てる。参加型・講演会・グループ探究・プレゼンテーションや論文など、学習課題に応じて多様な学習・発表形態を用いる。

 

評価の観点

  1. 教科学習及び総合的な探究の時間で習得する知識・技能が相互に関連づけられ、探究活動の中で活用することができる。 また、現代社会の諸課題について、自己の関心をもとに課題を設定することができる。
  2. 自ら設定した課題の解決に向けて、他者と協働しながら探究方法を考案し、実践することができる。また、探究の成果をもとに他者に自分の考えを適切な方法で伝えることができる。
  3. 自己・他者・社会とのつながりを意識しながら、見通しをもって粘り強く課題解決に向けて取り組むことができる。また、学習を通して自己を見直すことができる。  

 

授業の実践内容

 

【第1回】オリエンテーション

探究についてのガイダンス

探究について

 探究の授業について探究と卒業後の人生を関連づけ、3年間の全体像を掴んだ上でこの1年間の見通しについてガイダンスを行いました。

 「探究するとはどういうことか?」「探究と社会の関わり」「正解がある問題は学校外にはない」ことを学びました。

また、探究的な学習の流れの説明がありました。(①課題の設定→②情報の収集→③整理・分析→④まとめ・表現)

 身の周りにはスケールの大きいものから小さいものまで問いがあふれていることを生徒たちは知りました。  

日付:2024年4月19日(金)

 

【第2回】探究を知るワーク①(研修合宿事前学習)

 L.H.R.の時間に引き続き、5月の研修合宿の事前学習と、探究学習のコラボレーション授業です。研修合宿で訪問するNPO法人の施設について調べていきます。

 

映像資料で琵琶湖の環境問題について知る

 研修合宿の背景にある琵琶湖の環境問題。どのような問題があるかをペアで話し合った後、映像資料を視聴し、1970年代からの水質汚染の原因と、琵琶湖の水質を良くする取り組みが続けられていることを学びます。

 

NPO(愛のまちエコ倶楽部)の取り組みのいいところをみつけよう

 ここからはペアワークです。まずは、NPO法人「愛のまちエコ倶楽部」の取り組みのいいところを列挙していきます。次に、それらを分類して抽象化していきます。Jamboardを使用します。

 

施設で注目して見たいところ、施設の方に質問したいこと

 全体での共有を終えたら、研修合宿で施設を訪問した際に、注目して見たいところや施設の方に質問したいことを考えました。  

 

日付:2024年4月26日(金)

   

【第3回】研修合宿事後学習・課題意識ワーク①(講演会事前学習)

フィールドワークを振り返る

 前半は研修合宿で訪問した針江生水の里・あいとうマーガレットステーションでフィールドワークを行った内容についての事後学習を行いました。

講演会の事前学習

 後半は、次回に予定されている講演会に向けての事前学習を行いました。国境なき医師団に所属されている、本校卒業生でもある團野桂先生にお越しいただく予定です。

 事前学習として、米国の人種差別問題・日本の性差別問題・国境なき医師団の差別問題・Unconscious bias・Micro-aggression・Diversity, Equity, and Inclusion (DEI)・Political correctness などについて調べ、まとめました。  

日付:2024年5月10日(金)

 

【第4回】課題意識ワーク②

外部講師講演会 国境なき医師団(團野桂先生)

 前半は民間からの寄付で運営していること、現地スタッフや医薬品の流通、財務運営のスタッフなど非医療スタッフが半数以上で構成されていること等国境なき医師団の活動の概要についてお話されました。

 ナイジェリアの不確実で不安な出産の現状を病院・診療所での分娩率と妊産婦死亡率と新生児死亡率の関係と理想と現実の違いを例に紹介されました。

 ナイジェリア人と日本人の共通点からある国で起こることは他の国でも起こり得るという見方・考え方について学びました。さらに世界各国の方と関わっていく中で黒人差別と性差別、アンコンシャス・バイアス、Political correctionについて紹介されました。

 後半はグループで「Discriminationを乗り越えた先にあるDEIは、どこまで実現されるべきでしょうか?」について議論をおこないました。

高校生らしい自由な発想での意見が複数挙がりました。世界的な課題について考えるきっかけとなりました。

日付:2024年5月17日(金)

 

【第5回】情報の集め方①

情報の集め方 

 本日は「情報の集め方」について学習しました。

 まずインターネットによる情報の集め方について、実際に検索して結果を他者と共有することで検索方法による情報の差について認識しました。

 調べる対象に応じて適切に検索ワードを選択する大切さ・辿り着いた情報源によって情報の信憑性が異なること・データベースの種類などについて触れ、先行研究(書籍・論文)の検索方法、収集した情報の整理・蓄積方法などについても学習しました。

日付:2024年5月23日(木)

 

【第6回】探究の方法

講演:探究の方法(大阪教育大学 安松健先生)

 本日は大阪教育大学の安松健先生にお越しいただいて、これから探究を進めていく1年生に向けて、探究の方法をご講演いただきました。 

 探究テーマは身近にあること、身近にある「?」を大切にすること、欲しいもの(ゴール)が分かっていてそれを探しに行くのではなく、何がどこにあるか分からない状態で歩き回るイメージ、情報を「敢えて」整理せず(既存の枠にはめて分類せず)、自然と結合するように泳がせておくことなど、普段の学習などとは思考を切り替える必要性・重要性などをご講義いただきました。  

日付:2024年6月7日(金)

 

【第7回】探究を知るワーク②・課題意識ワーク③

中学校で経験した探究活動について

 前半はグループに別れて中学校での探究内容を各自で紹介し、中学校の探究の経験を整理して自分の興味関心に気付く・再認識しました。

貧困について

 後半は認定NPO法人Homedoorでホームレス問題に取り組んでおられる川口加奈さんの講演動画をきっかけに貧困問題について学習しました。

日付:2024年6月14日(金)

【第8回】課題意識ワーク

外部講師講演会「月経を取り巻く社会課題について」

 本日は、社会課題を知るためのワークとして、大阪大学人間科学研究科博士後期課程の小塩若菜先生にお越しいただき、月経を取り巻く社会課題についてご講義いただきました。

 前半はまず生理現象としての月経、月経と社会活動との関係などについて学習し、後半は小塩先生ご自身が実際の社会課題にどのようにアプローチし、その実践をどのように研究に繋げているのか、さらに研究結果をどのように実践に活かしているのかについてご講演いただきました。

 講演を通じて生徒たちは、身近に想像しうる諸課題だけでなく、貧困問題・労働環境・災害・衛生など、月経というテーマにも複数の社会的アプローチがあることを学びました。

日付:2024年6月21日(金)

【第9回】情報の集め方②

日経電子版読み方講座

 本校では今年度、「日経電子版for Education」を導入しています。このサービスを探究活動でどのように有効に活用できるか、日本経済新聞社の山野茂樹さんに、オンラインでご講演いただきました。

 具体的な事例を通じて、新聞記事の基本的な読み方、レポートや論文を書く際や記事を要約する際には「事実⇒背景⇒これから」といったような「逆三角形のスタイル」を意識することが効果的であること、効率的な検索テクニック、など多くを教わりました。

日付:2024年7月12日(金)

 

【第10回】探究活動の進め方①

ブックレポートの共有・研究倫理について

 本日は、夏休み課題のブックレポートの共有、今後のグループ探究へのテーマを考える、研究において気をつけるべきことについて学びました。自分が読んだ本について、読んでいない人に対して要点を伝え、聞く側としてはマナーや質疑応答を通して、互いに理解を深めることができました。

 後半は、探究を進める上で知っておくべき研究倫理についての、講義を受けました。

 自ら疑問を見つけ、どのような方法で探究を進めていくのか、グループで進める困難さや、プラス面に気づきながら、探究に対して意義を見つけ活動していくことを願っています。今後グループでの探究活動がはじまります。現時点での自分自身の興味関心や、探究したいテーマについて分析をして授業を終えました。

日付:2024年8月30日(金)

 

【第11回】探究活動の進め方②

よりよい探究活動にするためには 〜リサーチクエスチョンの重要性〜

 本日は探究活動を始めるにあたり、より良い探究にするため何が必要なのかということをワークなどを通して考えました。

 研究と探究の違いを認識するところから始まり、良質な探究のために大切なのは目的が重要であること、先行研究をしっかりと検討することで漠然としたものではなく独自性がありシャープなリサーチクエスチョンをつくることでできることを学びました。

 また授業内ではリサーチクエスチョンをイメージしやすくするため、先生方や先輩方が現在も探究し続けているリサーチクエスチョンを紹介しました。今回学んだことを次回からの探究活動に生かしてほしいと思います。

日付:2024年9月13日(金)

【第12回】グループ探究①

グループ探究活動開始!

 探究活動の目的や今後のスケジュールを確認し、グループが発表されました。5〜6人1班編成でグループごとに集まり、グループ探究テーマの検討をおこないました。

 まずは、班内で自分自身が気になるテーマ・リサーチクエスチョンを発表し、その後グループ内で共通項を見つけたり、グループ内でどのようなテーマにするのか話し合いました。それぞれのやりたいことをグループ内でどうまとめていくのか、発すること、受け入れること、お互いが折れるところ、さまざまあると思います。探究力と人としてどう成長していくのか、両方を学んでいってほしいと思います。

日付:2024年9月27日(金)

 

【第13回】グループ探究②

グループ探究活動開始! 

 本日はグループ探究テーマの検討およびリサーチクエスチョンをたてることを目標に活動をおこないました。グループごとに進捗状況は様々で、中には議論が白熱し探究テーマを検討するのに時間がかかっているグループもありましたが、ここでの苦労は必ず良い探究活動につながると信じてその姿勢を継続してほしいです。また、リサーチクエスチョンをたてて先行研究の検討に進んでいるグループもありました。仮説をたてる上でも先行研究の調査は非常に重要ですので、妥協せずに取り組んでほしいです。

日付:2024年10月4日(金)

 

【第14回】〜【第16回】グループ探究③〜⑤

リサーチクエスチョンをたててその先へ!

 前回に引き続き、グループ活動をおこないました。探究テーマの検討をおこなう上で議論が煮詰まり、教員にアドバイスを求めるグループも少しづつ増えてきましたが、どのグループも非常によく考えているという印象でした。ただ、リサーチクエスチョンをたてたその後の活動を意識するあまり、本来自分たちが研究したいテーマから逸れてしまっているグループも見られました。基本に立ち返り、自分たちのテーマを大切にして取り組んでほしいと思います。

 すべてのグループは、毎回、さまざまな教員から、進捗状況やリサーチクエスチョン、研究の意義などについて、鋭い質問をされます。時には厳しい「ダメ出し」に落ち込むグループもありました。このようなやりとりを繰り返すなかで、言語化され、問題点も明らかになり、リサーチクエスチョンや研究そのものが確実に洗練されていきます。苦しい行程でもありますが、ぐっと耐えて、自分たちの探究にさらに磨きをかけてもらいたいと思います。

日付:2024年10月18日(金)〜11月8日(金)

探究活動は、まだまだ続きます。


<