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2年生 総合プルーフ

 2年生では、『プルーフⅡ』(自然科学系の課題研究)か『総合プルーフ』(人文科学・社会科学のテーマも含む課題研究)を選択し学びます。『総合プルーフ』は1講座20名ほどのゼミ形式をとっており、グループで取り組むことを通じて「学ぶ力」を、成果を発表する機会をもつことによって「プレゼンテーション力」を養うことを目的としています。

今回は、講座『戦争について私たちが知っている二、三の事柄』の校外エクスカーションの様子をご紹介します。

笹川講座「戦争について私たちが知っている二、三の事柄」
『大阪市内の戦跡見学(その1)』

 11月11日(木)の14時30分に校門前に、総合プルーフの笹川講座(戦争について私たちが知っている二、三の事柄)の16名が集合。あいにくの悪天候でしたが、教員を含めた17名が、大阪城公園周辺の戦争遺跡の見学に出発しました。偶然ですが、この日は、第一次世界大戦の終戦日でした。
 スタートは、現在は森之宮団地内にある「大阪砲兵工廠跡碑(写真①)」です。大阪砲兵工廠は、戦前の陸軍の大型火砲の製造をしたアジア最大規模の軍事工場で、1945年8月頃の最大工員数は約6万4000人でした。敗戦直前は土地596万㎡、建造物70万m2を有し、現在は、その跡地が大阪城公園の東側~森ノ宮車両基地となっています。
 JR森之宮駅から大阪環状線沿いにJR大阪城公園駅まで北上。そこからは西に歩き、大阪城北外堀にある「大阪砲兵工廠荷揚げ門(写真②)」を見学しました。現在はブロック塀によって閉鎖されていますが、かつてはこの水門から砲兵工廠内部に多くの物資が船によって運び込まれていました。
 大阪城公園に入り、その北側を西に進んでいくと「大阪砲兵工廠化学分析場(写真③)」が見えてきます。大阪城京橋口にある「大阪砲兵工廠跡碑(写真④)」の西面には「明治天皇聖躅」と刻まれていました。その近くにある「大阪砲兵工廠アーチ門(写真⑤)」からは、かつてトロッコ列車が砲兵工廠に通っていました。 京橋口から大阪城内に入ると一対の「中国製狛犬(写真⑥)」があります。日中戦争時に日本軍が戦利品として持ち帰ったものですが、現在は中日友好・平和の記念のしるしとして設置されています。
 天守閣の方に登っていくと「山里曲輪の石垣(写真⑦)」に機銃掃射の跡が残っていました。また「天守閣東北隅の石垣(写真⑧)」が大きく歪んでいるのは、石垣のすぐ近くに落ちた1トン爆弾によって周辺の地盤が激しく揺れたためです。
 天守閣の南側には、ミライザ大阪城というレストラン兼ショップがあります。ヨーロッパの古城の雰囲気のある建造物ですが、これはかつての「第四師団司令部庁舎(写真⑨)」でした。その前で集合写真を撮影しました。
 以上、紅葉のすすむ大阪城公園近辺に残るいくつかの戦争遺跡を生徒たちと見学し、17時前に学校に帰ってきました。
 
【本年度 総合プルーフ講座紹介】
●『ホラー小説の分析』・・・テクスト分析を通じて表現的特性や作品的価値を明らかにしたり、テクスト構成について得た知見・理論に基づいて短編のホラー小説を創作する。
●『織田作之助文学の研究』・・・大阪出身で終生大阪を描き続けた作家、織田作之助の文学作品論を研究し、新しい発見に繋げたい。
●『戦争について私たちが知っている二、三の事柄』・・・平和を考える前提として戦争の実態や表象、戦争をめぐる思想などについて考える。読書や映像体験・エクスカーションに基づく討論・調査・研究を行う。
●『お絵描き工房』・・・西洋画、東洋画、絵画のジャンル西毎の画法やその特徴を踏まえたうえで、1年間をかけてPCモニター上に絵を描き、成果物の展覧会を催す。
●『時刻表で仮想旅行』・・・あらかじめ設けたテーマと実際の時刻表に沿って、実現可能な旅行などを計画する。また、見どころなど工夫も含めてプレゼンをする。
●『健康・スポーツに関わる課題研究を行う』・・・運動の効果的な学び方、スポーツの意義や歴史・文化的特徴、現代スポーツを取り巻く諸問題について課題を見つけアプローチする。
●『現代日本短編小説批評創作ワークショップ』・・・読解と創作を通し、各自の考える「おもしろい」小説とは何かを探求し、批評しあい、評力を涵養する。

  • 写真①砲兵工廠跡石碑…森之宮団地