第38回(令和7年度)公開セミナー
「小説」×「科学」-創作の源-
講師:伊予原 新 先生
日時:令和7年11月24日(月・祝日)14:00~16:00
場所:本校小講堂
令和7年度の公開セミナーは、本校の卒業生で直木賞作家の伊与原新先生をお招きし、「小説」×「科学」―創作の源―とういテーマで講演を行っていただきました。約200名の方が、先生のお話に耳を傾け、有意義な時間を過ごしました。
伊与原先生は、本校卒業後、神戸大学、東京大学大学院で地球惑星科学を専攻。研究者から小説家に転身されたという異色の経歴をお持ちで、「藍を継ぐ海」で直木賞を受賞され、ドラマ化された「宙わたる教室」は高校生の読書感想文の課題図書にも選ばれました。「宙わたる教室2」がこれから放送予定で、今後は執筆活動に専念される予定のため、この講演は大変貴重な機会となりました。
終始和やかに、学生時代や研究者時代、直木賞受賞時のエピソードなど、写真をスライドで紹介しながら、楽しくお話していただきました。著書「オオルリ流星群」の中で、主人公たちが高校時代に文化祭で巨大タペストリーを作った思い出が綴られているのですが、これは実際に、3年生の附高祭で友人数名と空き缶1万個を使った宝船の巨大タペストリーを作ったことが物語の構想になったそうです。実際にタペストリーを校舎の壁に飾った写真を見せて頂きました。
執筆活動においては、知らない事は、その分野の専門家を訪ね、多くの情報を得ることによって、重層的な物語が創り出されていると仰っていました。恩師の方や編集者の方、取材でお世話になった方など人との出会いをとても大切にされていることが印象的でした。
「小説」×「科学」とは、対立的な文理を融合して『書きたい人間ドラマ』と『知りたい科学の世界』を織り交ぜたもので、読んだ後に、少しでも面白かったなと思ってもらえて、世界の見え方が変わるような作品を生み出したいという思いが『発想や創造の源』になると仰っていました。何でもAⅠが解決してしまう時代だからこそ、何かに興味を持ち続けること、これはAⅠにはできない人間の強みであるとも仰っていました。
講演の後は、ご厚意によりサイン会を開催していただき、一人一人と歓談されサインに応じていただきました。
伊与原先生、素敵なお話を本当にありがとうございました。






