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第36回(令和5年度)公開セミナー

「見えぬけれどもあるんだよ」
講師:浅野 淺春 先生
日時:令和5年11月18日(土)午後2時~4時 本校小講堂にて

 令和5年度公開セミナーでは、附属高等学校天王寺校舎元副校長の浅野 淺春先生をお招きし、「見えぬけれどもあるんだよ」という論題で本校の保護者、生徒、教育後援会会員、同窓生、その他本校関係者を対象にお話をいただきました。浅野先生は、本校教諭・副校長としてご勤務ののち退官後、関西外国語大学教授として国際環境学・地学・ゼミナール里山学について大学での教鞭をとられ、現在はNPO法人「テクネー&ポイエーシス穂谷里山の会」の理事長として枚方市穂谷の里山の環境保全に取り組まれております。

 冒頭、浅野先生からは、本日の論題である「見えぬけれどもあるんだよ」についてお話がありました。「見えぬけれどもあるんだよ」は金子 みすゞさんの詩「星とたんぽぽ」にある一節だそうです。その後、「天王寺の風土と附属中・高の校歌」、「日本列島の代表的地形とわたしたちの暮らし」、「『百種(ももぐさ)萌(も)ゆる天王寺』と里山文化」の3つの話題に分けて、「見えぬけれどもあるんだよ」という論題に沿ってお話をいただきました。

 「天王寺の風土と附属中・高の校歌」については、本校音楽科の古川教諭の伴奏ののち、附属中学・高校の校歌の成り立ちや校歌をもとにして織られた体育館メインアリーナの緞帳のお話からはじまります。そして、天王寺と与謝蕪村ら俳人・詩人とのつながり,天王寺の地理と歴史、万葉集の歌、天王寺の地層・地質について校歌をもとに解説していただきました。

 「日本列島の代表的地形とわたしたちの暮らし」については、江戸時代前期に活躍した俳人・山口 来雪が詠んだ俳句「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」と山岳・丘陵・段丘・低地・海がつながる日本の地形と暮らしについて、そして,アイスランド・モルディブ・中国・モロッコ・モーリタニアの地形・風土と日本の食文化のつながりについてお話をいただきました。

 「『百種萌ゆる天王寺』と里山文化」については、本校中庭のビオトープ「学びのもり」が子どもたちの好奇心を育む大切な学びの場であることをお話しいただきました。そして同じ里山であり、浅野先生が現在、環境保全に取り組まれている枚方市の穂谷里山についてお話いただきました。穂谷里山は、日本里山百選に選ばれたた自然豊かな日本古来の風景が残る里山であり、植物相が1880種、哺乳類は22種、鳥類は142類、チョウ類は101類と全国でも有数の多種多様な動植物が共生していることが確認されており、豊かな生態系が保たれています。しかし、昔ながらの柿のれんや手延べそうめんづくりがみられる風景が時代とともに消えていき、豊かな廃棄土砂山ができるなど、環境が変化していることについて教えていただきました。

 いずれの話題も、普段何気なく過ごしていると考えることのないことかもしれません。変化が激しい現代にいる我々は、目の前のある明確なできごとに注目してしまいがちなのでしょう。時には、こうした目には見えないもの、目の前にはないものに目を向けることがいかに大切であるか、そして目を向けることでわかってくることがどれほど大きなことかについて教えていただきました。ありがとうございました。

  • 校門前の立て看板