第35回(令和4年度)公開セミナー
「地球環境を観測する窓・南極観測」
~南極観測って何?~
講師:小西 啓之 先生
日時:令和4年11月13日(日)午後2時~4時 天王寺キャンパス西館ホール
令和4年度の天附連 公開セミナーも新型コロナウイルス感染状況を鑑み、一回のみの開催となりました。
今回は、大阪教育大学理数情報教育系教授であり、附属高校天王寺校舎主任・附属天王寺中学校長の小西啓之先生に「地球環境を観測する窓・南極観測 ~南極観測って何?~」についてご講演いただきました。小西先生は本校の卒業生でもあり、1988〜90年に第30次南極観測隊・越冬隊、2016~17年に第58次夏隊に参加され、昭和基地で気象レーダー観測を行い、雲と降水の観測に従事されました。のべ600日を超える南極での観測生活の実態だけでなく、極寒の地ならではの体験談を交え、わかりやすくご説明いただきました。
南極での気象レーダー観測は24時間365日休まず続いており、昭和基地の気温はこれまでの最高が10度、最低がー45.3度と記録されており、美しいオーロラを見ることができる晴れの日もあれば、5秒で仲間を見失ってしまう厳しいブリザードが吹き荒れる日もあるそうです。「100枚の写真より、1回の本物を。」とたくさんの動画も披露してくださいました。砕氷船「しらせ」が1メートルを超える厚さの氷を砕きながら進んでいく動画では、まるで自分が船に乗っているような臨場感と自然の偉大さ、そして観測隊の南極観測に向ける熱い思いを感じることができました。また、現在は持ち帰れなくなった貴重な南極の石と氷も展示くださいました。氷は積もった雪が圧縮され、中にはたくさんの空気(気泡)が含まれており、その空気は約1万年前のものだそうです。回覧いただいたグラスに入った氷を耳に近づけると気泡がプチプチと弾けて溶ける音が聞こえ、神秘的な気分になりました。実体験に基づく詳しいお話とたくさんの映像や展示物を通し、南極というはるか遠い夢の地を、身近に大変興味深く感じられる2時間でした。
新型コロナウイルスの影響で、参加人数を限定しての開催となりましたが、このような状況の下、講演を引き受けてくださいました小西先生、また足元の悪い中ご参加いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。
文責:PTA広報委員会