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PTA公開講座(講演:今とこれからの教育について おとなとして考えておくこと)

講演「今とこれからの教育について おとなとして考えておくこと」

講 師 : 小崎 誠二 先生(奈良県立教育研究所 教育情報化推進部 主幹)
日 時 : 令和2年12月6日(日)午後13時30分開演
主 催 : 附属天王寺中学校PTA
場 所 : 生物講義室(会場での参加10名まで)他 オンラインにて受講
参加者 : アクセス数85名

 令和2年度134回公開講座は、コロナ禍の中、集団で集まることが困難なため、初の試みと致しまして、オンラインにて開催いたしました。

小崎先生

 講師としてお招きした小崎先生は、奈良県立奈良高等学校を皮切りに、高等学校の国語科、情報科の教員として19年間勤務され、平成19年からは、奈良県立教育研究所、県教委学校教育課指導主事、学事係長を経て現在は、県立教育研究所教育情報化推進部主幹でいらっしゃいます。
 さらに文部科学省2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会委員、また、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議委員として、日本の教育の情報化を推進しておられます。

 冒頭では、先生が奈良から来校される途中の天王寺駅付近で撮影されたお写真をモニターに映し出しました。写真等の情報をすぐに配信、共有できる環境が、最近の子供たちには当たり前の日常であると、分かりやすい例えを提示してくださいました。実際私達親世代は、写真を撮ったら現像に出し2、3日後に受け取りに行くと言う経験をしてきました。
 10年ひと昔と言っていましたが、今の子供達には、5年でひと昔と言って良いぐらいに、次々と新しい情報がもたらされるのです。昭和、平成のスタイルとは変化し、私達大人と常識が違ってきているのです。

 また、今回の講演で、斬新だったのが、小崎先生の質問に保護者がチャットで応えるという手法でした。先生が「こんにちは」と打ち込むと、保護者の方々も「こんにちは」「初めまして」等、次々に打ち込んでくださいました。今までの講演は聞くだけの一方通行でしたが、その場でチャットで応えることができたのです。とても面白い手法で、画期的だと思いました。

 今の子供達に新しく求められていることは、デジタル「も」使いこなして人とやり取りができる力です。デジタルでの授業は、教師の質問に対し、最初に書き込む生徒と、またそれを待っている生徒がいて、後者は人の意見を聞きながら自分の意見を決めることができるのです。最初に書き込んだ生徒も後から、他の生徒の意見を聞いて、自分の意見を修正できるのです。一人だけ指名して答えさせる従来の一斉型の授業よりも、みんなが参加できる可能性が高まるのです。

 平成元年の世界時価総額ランキングでは、50位の中に日本企業が30社程入っていましたが、平成30年度では、トヨタしか入っていませんでした。これは、コンビニにある日本製商品と外国製商品の割合とほぼ一致します。同じく日本の教育は、この間も変わらず、全く同じスタイルで淡々と教えてきました。世界の国々ではデジタル庁の新設やICTの導入が行われ、IT国家へと変化していきましたが、日本の対応は遅れました。これからは、「ICT分かりません。苦手です。」と言ってしまわず、根本から、変えていかなければいけないのです。

 そんな中、GIGAスクール構想が始動されました。GIGAスクール構想とは、2019年12月に文部科学省から発表されたプロジェクトです。GIGAとは、「Global and Innovation Gateway for All」の略称であり、小学校の児童、中学校の生徒1人に1台のパソコンと、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備し、多様な子供たちに最適化された創造性を育む教育を実現する構想です。日本の大半で2021年の3月には、子供一人一台の情報端末が支給される予定です。そして奈良県は、2020年12月に支給がすでに終わっている状態です。また、奈良県の場合は、県域統合型校務支援システム構想によって小学校に入学すると、中学、高校とそのままデジタルにて名前や住所等を管理しています。また、国立も公立も私立もベースは一緒で、環境によって子供たちに差がつかないようにしています。「ネット環境は、最高のものよりも常に最新のものを扱える環境を整備する」との先生のお話にとても感慨深いものを感じました。

 学校でICTを活用するという事は、自由に勉強したい時や調べたい時にすぐに使えるようにするという事です。情報格差=経済格差=生活格差が、日常になっている今日この頃ですが、みんな平等にICTをうまく活用していける子供たちに育てる必要があるとおしゃいました。SNSやゲームをする子供達の姿に不安ばかりでしたが、それも少しは将来の為なのであればと、今後は温かい目で見守っていきたいと感じました。

生物講義室での公開講座配信の様子

 コロナ禍の今、ICT教育は急務です。ICT教育で今後変わるのであろう子供達の人生に大いに期待したいと思いました。  最後にコロナ禍で大変な中、お越しくださいました小崎先生、開催にあたりご尽力くださいました大阪教育大学情報基盤センターの尾崎先生、ご参加くださいました保護者の皆様に心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。