令和6年度 第67回卒業式
2025年2月28日(金)
2月28日(金)、第67回卒業式を挙行いたしました。まもなく訪れる春を感じさせる陽気に恵まれ、また多くの保護者の方々、ご来賓の方々にご臨席を賜り、厳粛な中にも心温まる式となりました。
67期生が入学した頃は、新型感染症流行の余韻が少なからず学校の中にも見られました。毎日の授業やクラブ活動、附高祭や百粁徒歩といった自治会行事。そうしたものの中で脈々と受け継がれ、附高を附高たらしめてきた様々な伝統の一部は、感染対策等のためにその姿が見えづらくなっていたり、あるいは途絶えたりしていました。
そのような中、67期生は仲間と大いに議論し知恵を出し合い、伝統を取り戻したり、あえてかつてとは異なる新しい形を取ったりと様々に工夫をこらしてくれました。そうした姿は、後輩にとっての大きな道しるべともなりました。
様々な場面で試行錯誤と切磋琢磨を繰り返し、たくましさを身に付けた67期生は、それぞれの新しい場所で引き続き、力を発揮してくれることと思います。
本校伝統の卒業式二部では、67期生の将来の夢をまとめたビデオの上映、副校長、学年主任、学年代表の数名のスピーチ、学年合唱、その後は各教室で最後のHRを行いました。
以下は、卒業生代表による答辞の内容です。
● 卒業生代表による答辞(こちらをクリック)
冬の名残のような肌寒い風が時折吹きつつも、春の陽気を感じられる今日の良き日に、私たち六十七期生のためにこのように厳かで温かな素晴らしい式を挙行していただきありがとうございます。ご臨席いただいている皆様、そして私たちを支えてくださった全ての方に心から御礼申し上げます。
三年前、今と同じように六十七期生として座っていた入学式。見知った顔も多いながら、胸のうちに抱えていたほんの少しの不安は、今日と同じように頂いた温かな祝辞のお言葉で期待へと変わりました。入学当初から楽しみにしていたのは、この学校の特色でもあるたくさんの行事でした。三年間、六十七期のみんなと楽しんだ思い出深い行事の中でも、特に私の心に残っているのは、高校生活最後の行事であった音楽祭です。本番の十分という短い時間のために、受験勉強の合間を縫ってクラスで集まり、考え、練習し、作り上げる。それが本当に楽しくて、目指していた賞を取るということすらもどうでもいいと思えるほどでした。本番はどのクラスよりもみんなで楽しんだ自信があります。他クラスの発表も本当に印象深く、胸が温かくなりました。十分という短い発表のためにここまでみんなが熱意を傾け、そしてその十分でこれほどに人の心に響く感動を生み出せるのかと、心からこの学校に入って良かったと思いました。
授業や探究活動では、附高ならではの物事の本質を捉えようとする学びを積み重ねました。実験や実習などが多く、家族や他校の友達に驚かれることも多々ありましたが、自分の身を通して学んだことは、確実に自分のものとなりました。化学の実験で薬品を入れすぎて試験管の中に黄緑色の濃い塩素を発生させてしまっても、こんなに濃いのは久しぶりだと笑って受け流して処理方法を教えていただいたように、ここは失敗に対して本当に寛容な場所でした。この場所だからこそ得られた学びは少なくなかったでしょう。また、定まった答えのない問いに取り組むような課題も多くありました。その大変さに、時に煩わしさを感じさせられることもありましたが、振り返ると、それらは自分の興味を知ること、またそれを深めることに大いに役立ちました。好奇心に導かれて自ら学ぶことの楽しさを知ることにもつながりました。この場所で過ごした時間は本当に濃く、そして実りのあるものでした。私たち六十七期生は、附高で得たものを胸に刻み、今日、未来への一歩を踏み出します。
ご来賓の皆様。
本日は私たち六十七期生のために、式に参列いただき、また温かな祝辞のお言葉を頂き、ありがとうございます。皆様のご支援のおかげで私たちは無事に高校生活を終え、卒業を迎えることができました。心より感謝申し上げます。
在校生のみなさん。
行事や部活動など、みなさんのおかげでより楽しめた事が沢山ありました。ありがとうございました。聞き慣れた言葉かもしれませんが、附高は様々な事に挑戦できる機会が多く設けられています。どうせこの学校に入ったのですから、他校にはない附高だけの良さを存分に利用し、勉強に縛られすぎず、部活動、SSHなどの探究活動、学外の活動など、多くの事に挑戦してみてください。行きたい大学で学びたい事を学ぶという事は確かに大きな財産かもしれませんが、それと同時に、高校生として、附高生として、有意義に時間を使う事も間違いなく大きな財産です。そして、この中にはまだ受験のことなど頭にないという人も多いと思います。存分に今を楽しんでください。ただ、自分がどういう大人になりたいのかを考えておく事はおすすめです。ぜひ沢山自分に問いかけてみてください。皆さんの附高生活が学びと楽しみに溢れ、満足のいくものになる事を願っています。
先生方。
成長して物事が分かるようになるにつれ、この学校の先生方が私たちに日頃どれほど大きな温かさを向けて下さっているのかを心から感じるようになりました。百粁徒歩では、下見も含め、身を切るような寒さの中、夜通し付き添っていただきました。音楽祭では、私たちを喜ばせるために練習を重ねられたであろう歌を披露していただきました。あるいは、私たちの部活のために放課後はもちろん、始業前や休日にも出勤していただきました。私たちが、先生方に当たり前のようにしていただいていた事がどれほど特別な事か。きっと、これから大人になるにつれ、今なお気づけていない当たり前ではなかった事に気づき、そのありがたさに感じ入る瞬間が山ほどあるのでしょう。日々温かく見守り、寄り添い、また度を過ぎた時には厳しく指導していただいた先生方のお力添えなくして、個性が豊かすぎる私たち六十七期生は、一つの学年として成立していなかったかもしれません。代表してお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
六十七期のみんな。
なんでもない日々が本当に本当に楽しくて仕方ありませんでした。登校して、一緒に授業を受けて、休み時間にみんなで集まって喋って、お弁当を食べて、部活をして、帰る。くだらないことで思い切り笑える。心から安心して過ごせる。六十七期生は個性豊かで、騒ぎすぎて先生方から怒られることも全く珍しくないほどに元気で賑やかでした。そして同時に、本当に心優しい面々ばかりでした。互いが互いを受け入れ、尊重しあい、居心地のいい空気が生まれていました。各自の個性はそんな空気があったからこそ保たれ、あるいはより豊かになったのだと思います。特に私がその温かさを感じたのが、受験という大きな壁に向かう時でした。学校へ行く日数も減って、緊張しながら共通テストへ近づいていく日々を過ごしていたのですが、迎えた当日、久しぶりにたくさんの友達と会って、話しているうちに緊張は吹き飛んでいました。共通テストが終わってからも、六十七期の温かい空気に触れられる登校日を心待ちにして勉強に励んでいました。全力で励んでいる人が周りにたくさんいるからこそ、自分もがんばらねばと努力し続けられました。他人の成功を全力で喜び祝福できる。他人の痛みを自分のことのように受け止めて共に悲しめる。他人の足りない部分を嫌な顔一つせず、手助けできる。心優しいみんなが作り出す温かい空気の中で高校三年間、あるいは中高六年間という長い時間を過ごせたことを嬉しく思うと共に、その空気を作り出す一員であれたことを誇りに思います。本当にありがとう。
そして家族へ。
いつも私たち六十七期生を支えてくださり、ありがとうございます。いつでも自分の味方がそばにいると信じられること、この歳になっても辛い時に甘えられる場所があること、自分の親を人として尊敬し、誇りに思えること、当たり前に自分の意見を尊重してもらえること、やりたい事をやらせてもらえること。数え上げればきりがないのですが、普段は照れ臭さからお礼すら十分に言えていない事もたくさんあります。私たちが成長していく上で、家族の影響というのは本当に大きなものです。毎日安心して生活でき、目指すものに向けて全力で励めるのは家族のおかげです。いつも心から私たちを大切にしていただいていることに、改めて感謝申し上げます。
高校生というのは、多感な時期であり、自分の将来に向き合う時期でもありました。私たち六十七期生はこの附高で、多くのことを学び、考え、時に壁に突き当たりながらも、たくさん成長しました。そして今日、三年間、あるいはもっと長い時間を過ごしたこの場所を離れ、大きな一歩を踏み出します。新たな環境への不安はありながらも、将来に希望を抱いて自信を持って進めるのは、こんなにも多くの方々が私たちにその温かさを向けてくださっているという事を知っているからです。高校三年間、このような環境で日々を過ごせた事を心から幸せに思います。最後に、ある歌の一節を借りて答辞とさせていただきます。「何一つ見えない僕らの未来だから、答えが既にある問いなんかに用などはない」ここで培ってきたものを胸に、六十七期生みんなが各々の道を切り拓いていけますように。